小児は「ハビリテーション」、高齢者は「リハビリテーション」 「歯を治す時代」から「口の機能を守る時代」へ。
近年、歯科医療では「噛む・飲み込む・話す・呼吸する」といった口腔機能に注目が集まっています。
実は、口腔機能へのアプローチは年齢によって目的が異なります。
- 子どもは「ハビリテーション(Habilitation)」
- 高齢者は「リハビリテーション(Rehabilitation)」
どちらも「お口の機能を良くする」という点では同じですが、その意味は大きく異なります。

小児の「ハビリテーション」とは
ハビリテーションとは、まだ十分に身についていない機能を育てることです。
子どものお口は成長途中です。
「食べる」「噛む」「飲み込む」「話す」「鼻で呼吸する」といった機能は、生まれつき完成しているわけではなく、毎日の生活の中で獲得していきます。
しかし、
- お口がぽかんと開いている
- よく噛まずに飲み込んでしまう
- 硬いものが苦手
- 発音が気になる
- 指しゃぶりや舌癖がある
- 口呼吸をしている
このようなサインがある場合は、口腔機能の発達が十分でない可能性があります。
保護者の方からは
- 「丸のみしてしまう」
- 「いつまでも食べている」
- 「好き嫌いが多い」
- 「食べるときにクチャクチャ音がする」
- 「発音が気になる」
などのお悩みを伺うことも少なくありません。
これらは単なる癖ではなく、口腔機能発達不全症のサインかもしれません。
早めのトレーニングが将来を変える、
乳幼児期から学童期に適切な口腔機能を獲得できると、
- 正しい咀嚼
- 飲み込み
- 発音
- 顎の健全な発育
- 歯並びへの良い影響
が期待できます。
つまり、小児のハビリテーションは一生使うお口の土台づくりなのです。
高齢者の「リハビリテーション」とは
一方、高齢者では目的が異なります。
加齢とともに、
- 噛む力
- 舌の力
- 飲み込む力
- 唾液量
- 発音
などは少しずつ低下していきます。
65歳頃は人生の大きな節目でもあります。
退職や生活環境の変化、お薬の服用が増えることで、お口の機能にも影響が現れやすくなります。
実際に65〜69歳では約3人に1人がオーラルフレイルに該当すると報告されています。
そして、高齢者の「誤嚥性肺炎」を引き起こしていきます。
オーラルフレイル
オーラルフレイルは元に戻せます。
オーラルフレイルとは、
健康な状態と口腔機能低下の間にある「まだ改善できる段階」です。
例えば、
- 食べこぼしが増えた
- むせやすい
- 硬いものが食べづらい
- 滑舌が悪くなった
- 口の乾燥が気になる
このような小さな変化を放置すると、低栄養やフレイル、要介護へとつながる可能性があります。
しかし、この段階で気づけば、
- お口のトレーニング
- 咀嚼・嚥下訓練
- 義歯調整
- 虫歯・歯周病治療
- 定期的なメインテナンス
によって改善が期待できます。
これが高齢者のリハビリテーションです。
子どもも高齢者も「機能」が大切
歯は治療できても、口の機能は自然には戻りません。
だからこそ、
- 子どもは機能を育てる
- 大人は機能を維持する
- 高齢者は機能低下を防ぐ
というライフステージに応じた歯科医療が重要になります。
私たちは「虫歯がないこと」だけではなく、「一生、自分の口でおいしく食べられること」を目標に診療しています。
当院では口腔機能検査・トレーニングを行っています
当院では、お子さまの口腔機能発達不全症から、高齢者のオーラルフレイル予防・口腔機能低下症まで、ライフステージに合わせた口腔機能管理を行っています。
「最近、噛みにくくなった」「子どもの食べ方が気になる」「口が開いていることが多い」
そんな小さな変化も、お気軽にご相談ください。
お口の機能を守ることは、健康寿命を延ばすことにつながります。私たちは、お子さまからご高齢の方まで、生涯にわたり皆さまのお口の健康をサポートいたします。